弁護士Kubokazの法律雑感

都内で活動する弁護士が、日々思った法律問題について書いています。思ったままに、筆の進むままに書いてますので、「へぇー」という程度にご覧ください。

仲裁合意の留意点

前回、契約書における合意管轄について書いたので、それと関連して、仲裁合意をする場合について触れたいと思います。

 

仲裁とは、当事者が仲裁人となる人を選んで、その人に双方の言い分を聞いてもらって判断を仰ぐというもので、裁判とは異なる紛争解決手段の一つです。特に、海外との契約においては、裁判手続きに対する不信感(相手方の国で裁判が行われた場合、外国民である自分に不利な判断が出されるのではないかというもの)から、紛争解決手段として仲裁が好まれる傾向にあるようです。

 

さて、その仲裁ですが、紛争解決手段とするためには、契約において、「紛争は仲裁によって解決する」ということを明記しておく必要があります。

更にいうと、準拠法の問題も絡むので難しくなりますが(準拠法については改めて書く予定です)、日本法が適用される場合、仲裁法という法律があり、この法律において、仲裁合意は、仲裁を唯一の紛争解決手段と定める必要があるとされています。つまり、契約に、「紛争は仲裁によって『も』解決することができる」などのように、仲裁は紛争解決手段の一つにすぎず、例えばそれ以外に訴訟を提起することも可能と読めるような定め方をしている場合、仲裁合意自体が無効とされるおそれがある、ということになります。

 

紛争解決手段を仲裁としたい場合、紛争は仲裁「のみ」で解決できることを明記する必要があります。さらに念には念をということで、各当事者は、訴訟提起する権利を放棄するということを加えておいてもよいかもしれません。

 

仲裁については、仲裁地をどこにするか、仲裁手続きに適用するルールをどうやって決めるか、仲裁人をどうやって選ぶかなども問題となり、契約交渉のポイントとなりますが、これについてはまた改めて触れようと思います。