予防法務

仕事上、契約書のドラフトやチェックをすることが多いのですが、特に契約書のチェックをすると、日本語のレベルからあやしいものが散見されるのに驚かされます。それと同時に、そのような契約書が世の中にあふれかえっている中で、それなりにビジネスが回っているということも痛感します。

 

契約書チェックなどの業務は、よく「予防法務」と呼ばれます。その名の通り、将来の紛争を予防することを目的としています。しかし、「予防法務」という考え方が浸透してきたのはまだまだ最近のことで、つい十数年前まではほとんど知られていない概念だったように思います。

 

予防法務を説明する上でよく引き合いに出されるのが「保険」です。保険は将来病気や事故に遭遇した際に金銭的に困らないよう、現時点で少額の出費をするものであり、「予防法務」も同様に、将来紛争が起こって巨額の支出が発生しないよう、現時点でそれよりも少ないお金をかけて対策しておくのだということです。

 

ある程度的を射ていると思うのですが、同時に、予防法務に必要なお金(弁護士費用)は、保険に比べて高いことが通常なので、そこのギャップをうまく説明しないと、聞く人に響かないんじゃないかとも思っています。特に、上記のように、弁護士の目からすれば全然「イケテない」契約書であっても、それゆえに紛争になっている例が少ないことから、予防法務にお金をかける必要性を感じない方も多いと思います。

 

個人的には、保険に入ったとしても、将来の病気や事故の可能性を減らすことはできないけど、予防法務においては将来の紛争の可能性を減らす効果があることから、将来の支出の可能性を減らすという意味で、保険よりも金銭的価値の高いサービスであるなどと言っています。もちろん、法律業務は個別の案件ごとに異なる(いわばフルオーダーメイド)ので、保険商品のように同じものを多く販売することで一個当たりの単価を下げるという方法が取れないこともあるのですが、法律業務がフルオーダーメイドであることの理解が浸透していないこともあって、残念ながら、払う側にとっては十分な納得が得られる説明ではないようです。

 

日本の弁護士報酬は海外に比べたら(たとえ大手渉外事務所であっても)格段に安いんですけどね。。。